相続放棄を行うことのデメリットとは?

2022/07/04 コラム

相続をするものは負債だけという場合、相続にメリットがないため、相続放棄をすることがしばしばです。
今回は、この相続放棄を行うデメリットを見てみましょう。

▼相続放棄にともなうデメリット
相続放棄は負の遺産を相続せずに済む一方で、デメリットを生じることがあります。

■相続できる財産も失ってしまう
相続放棄の手続きは、相続の権利があるとわかってから3カ月以内に裁判所に申し出なければなりません。
遺産が借金などの負債だらけという場合は、借金の肩代わりを防ごうと、急いで相続放棄の手続きを進めますよね。
けれど、遺産の整理をしているうちに、ひょんなことから価値のある遺産が出てくる可能性があります。

その場合、相続放棄を済ませてしまっていたら、本来なら相続できるはずの遺産を相続できません。
このような事態を避けるには、3カ月の申告期限のうちに、できるだけ遺産の整理を進めることが重要です。
相続放棄をしてしまったあとで遺産があるとわかっても、相続放棄の取り消しは認められませんので、速やかに遺産の整理に手を付けましょう。

■相続順位が変わってもめる
遺産の相続には順位が決まっており、順番の早い人から相続します。
配偶者が亡くなったら、残された配偶者が遺産相続の1番目の法定相続人です。
さらに、夫婦の間に子どもがいれば、配偶者に次ぐ法定相続人とみなされます。

一般的には配偶者と子どもの間で相続がなされるのですが、相続放棄によって順位が変わってしまう可能性が大です。
そもそも相続放棄を行う一番の理由は、相続することにメリットがないからですよね。
法定相続人がデメリットを回避しようと相続放棄をすると、相続権が次の人へと移ります。
亡くなった方に孫がいれば、孫が次の相続人です。

孫がいない場合は両親と祖父母ですが、すでに他界されていることも多いでしょう。
その場合は、亡くなった方の兄弟姉妹が法定相続人に該当します。
誰もが負の遺産を相続したくはありませんから、親族を巻き込んでもめることになるでしょう。
せっかくうまくいっていた親戚関係が相続放棄によって崩壊するのは、大きなデメリットです。

 

一つだけ注意しなければならないのが、医療保険の入院給付金の請求です。

相続放棄をする予定だったにもかかわらず、当事者(ご両親やパートナー)が生前に長期の入院や手術などをし、加入していた医療保険の給付金を相続発生後に受け取ってしまった場合、遺産を相続したとみなされます。そうなってしまっては負の遺産の相続放棄をしたくてもできなくなるケースもあります。

わからないことは専門家からのアドバイスをうけることが自分たちの生活を守ることになります。


▼まとめ
誰しも価値のある遺産は相続したいけれど、負の遺産の相続は避けたいものです。
そのため、どうしても相続放棄を急ぎがちですが、デメリットやリスクを考慮して慎重に考えることが重要ですね。
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